新型ウィルス拡大感染の防止策として一斉休校になってはや数ヶ月。
オンライン学習支援が受けられない。自宅学習がうまくいかず、ケンカばっかり。 そんな話を耳にします。
子どもの自宅学習支援について、英国と日本でかなり温度差があるみたい。
私が暮らす英国では、3月半ばより子どもを自主休校させる家庭が増え、日本よりやや遅れて2020年3月23日ごろより全国一斉休校になり、その後ずっとオンライン・ベースの自宅学習が続いています(※)。
6月1日より一部通学再開の予定ですが、通学できるのは中高では受験学年の生徒、勉強をスタートする時期にさしかかった小学1年生と幼稚園児、中学進学を控えた6年生に限られており、それ以外の学年は新学年スタート期にあたる2020年9月まで休校の予定。
2019年の調査によると、日本のインターネット普及率は94%で、英国の95%とほぼ同じ。
では二国のオンライン教育格差はどこに原因があるのか。気になるところです。
今回は参考までに外出規制下の英国におけるオンライン学習事情、個人的な意見もろもろをまとめました。
にわかYouTuber風ティーチャー現わる
親たちは仕事と自習手伝いの両立に「きつ〜い!」の悲鳴 。
一日中ご飯を作り続け、家は散らかる一方。逃げ場がなくってしんどい。
ここらへんは日本も英国も同じです。
一つ大きく違うのが公立学校でのオンライン学習支援の有無。
学校によって差はあるけれど、オンライン教育経験ゼロの先生たちが戸惑いつつも手探りでオンライン学習システムを立ち上げて、かなり早い段階で対策が整いました。ユーチューバー風に変身したいつもの先生に教えてもらえるのは、子どもにとっても心強いよう。
ロックダウンが当初の予想よりかなり長期化することになったので、先生たちがGoogle ClassroomやEdmodo、Zoom、Tassomai、Loom、Kahootなど既存のプラットフォームを総動員して急場しのぎの勉強システムを早い段階で作っちゃったのは正解でした。政府の指示もあるのでしょうが、とにかく現場の先生のフットワークが軽かった印象。
親が自宅学習をサポートしなくてはいけないのは同じですが、クラス全体が共有できる学習システムがあるのとないのでは雲泥の差。かなり助かっています。
未来を見つめた新たなICTプラットフォーム構築!なんて大仰に構えず、リアリティ重視&ドロナワ式だったのがスピードの秘訣だったと思います。とにかく、今、この瞬間に必要なことなのですから。
ただ、経済格差が大きい英国でもなんとかやっているオンライン学習支援が、小学生がスマホを持っている日本でなぜできないのか。 これはちょっと不思議な気がします。
必要なのはアクションだけで、費用はほぼかからないですからね。
スマホでオンライン授業している難民キャンプだってあるのだから、できなくはないはずなのですが。
教育難民を生まない努力
未来を担う子どもたちがコロナ休校で教育難民にならないようにと、
英国政府と学校は、もちろん完璧とはいかないけれどそこは必死に守っている。
子どもは教育を受ける権利があり、国と親はそれを支援する義務がある。
この大切な仕事を日本政府が家庭に丸投げもしくは無視しているのは、つまり政府が「我々には子どもの権利を守る力がありません」と告白しているようなもの。
学校のICT 普及が遅れている、デジタルは難しい、家にパソコンがない家庭もあるから…という話も聞きますが、それは行動を起こさないための言い訳のように響きます 。
参考までに記しておくと、うちは小学生と中学生の子どもがいる共働き家庭。英国の一般的な公立校に通学しています。
入学時からVLE (Virtual Learning Environment=オンライン上で生徒が自分の 授業や宿題を管理するシステム)に慣れている中学生の方は、ロックダウン後そのままスムーズに自宅学習に移行。
体育や家庭科は課題とチュートリアルを与えられ、自己申告制。
外国語の授業ではZoomを利用したライブ授業が時々あります。
VLEシステムを導入していない小学校の方は、ロックダウン開始後1〜2週間は混乱が見られたものの、その後オンラインでの担任先生による録画授業が開始。
家でずっと机に向かわせておくことが難しい年齢でもあり、全ての科目をカバーするのは難しいので、最も重要となる国語と算数に絞って毎日授業をし、他の科目はもう少しゆるめ&フレキシブルな構成に。
(あくまで私の子どもが通っている学校の例)
なぜライブ授業ではなく録画授業やチュートリアル動画が中心かというと、デバイスの数が足りない家庭もあるから。パソコンやスマホがあっても日中は自宅勤務中の親が占領している場合も多く、時間差で勉強せざるを得ないケースもあるのです。
うちはデスクトップ、ノートパソコン、タブレット、スマホの4台でぎりぎりセーフ。
もちろん課題を全てこなせない日もあるし、だらける日もある。
勉強をしなくなり脱落していく生徒だって確実に存在する。
一方で意欲のある子どもだってたくさんいます。
親も「課題が多すぎて負担だ」「こうやってみてはどうか」「あのページ動いてないよ」と学校にどんどんフィードバックを送っている。そして現場の先生への賞賛も惜しまない。学校側はそれを反映しつつ、授業を毎週調整している。
デバイスやインターネットにアクセスできない生徒、脱落してしまった人をすくい上げるシステムやサポートも誕生しています。
今後、まんま元通りの世界はやってこないし、社会はガツンと変わる。
もしくは淘汰されたのち進化する。
「もう国の教育制度になんか期待しない、塾とアプリのほうがよっぽどいいよ」なんて言われないように、コロナというピンチをいいチャンスにして、日本のICT 普及&やる気の出る教育改革が進むといいなーと願っています。
いろいろ大変なホームスクーリングですが、振り返った時に楽しい思い出になることを祈って乗り切りたいですね。
※休校とはいえ、現在も医療関係者やスーパー、薬局勤務など、国民の生命線を保つためこの状況下でも働き続けなくてはならない方々=キーワーカーの子どもたち、また特殊な家庭環境下におかれた子どもたちは現在も通学を続けています。
❤️引き続き、新著もどうぞよろしくです。
→『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』